2007年04月13日

拙速の愚

国民投票法案:衆院を通過 今国会成立は確実な情勢(毎日新聞)

通ってしまったものはどうしようもないとは思うが、
これまた随分と功を焦ったという気がする。

言うまでもなく、国民投票法案のことである。

記事中から、与党修正案の骨子を抜き出してみる。

 与党修正案は(1)投票権者は18歳以上で、公職選挙法や民法改正で選挙権年齢や成人年齢が引き下げられるまでは20歳以上(2)賛成・反対票を合計した有効投票総数の過半数の賛成で成立(3)法案成立後3年間は衆参両院に設置する「憲法審査会」で憲法改正の審査、提出は行わない(4)憲法改正案は関連する項目ごとに区分して行う−−などが柱。
(上の記事から引用)


第3項・第4項は特に問題はないと思われる。
第1項の投票権者の年齢に関しては、公選法や民法改正の際に
改めて大々的な議論になると思うのでここでは触れないが、
問題は第2項に挙げられている成立要件であろう。

有効投票総数の過半数というのは、些か問題がなくはないか。
例えば、投票率が30%台などと低率に終わった場合でも、
この要件は変動しないのだろうか。
だとすると、実質の賛成票が非常に少なくても
国民投票が成立してしまう可能性がある。

国民の重大事に関する投票であるならば、
相応に投票率も高くならなければならない。
何せ、国のディレクションに関わる話だ。
国民が関心を持つのは当たり前のことである。
だとすれば、投票率は最低でも50%超を担保されなければ
国民の意思表示の最低限度さえも示せないことになろう。

それが極端に低い投票率に終わってしまった場合でも
有効投票総数によって話を決めるというのは
単なる拙速にしかなるまい。
憲法とはそのように軽いものではないはずだ。

例えば、如何に9条を現状に見合うように改正するにしても、
そのために拙速に走ってしまっては
後々に禍根を残すことは確実である。
それは何も9条の問題に限ったことではない。
他の条文を改正する場合でも同じことである。

憲法を改正することが悪いと言っているのではない。
その手続で拙速に走ることを奨励するようなやり口が問題なのだ。

聞けば、安倍晋三はこの夏の参院選に於いて
憲法改正を争点にしたがっているという。
恐らくそれを見越してのこうした話なのだろう。
再度言うが、憲法改正が悪いとは思わない。
必要があれば変えるべきところは変えて、
現在の日本社会に見合うようにするのが本当の姿だろう。
だが、戦後レジームとやらからの脱却にばかり気がいって、
改正に際しての本質的な必要性を説明できないまま
「憲法を変えましょう」と声高に叫んでみても、
国民の理解は必ずしも得られないように思われる。

特によく槍玉に挙がる9条のような条文の変更には
細心の注意が必要だと思われる。
簡単に条文だけ変えればいいというものではない。
あれを日本のアイデンティティの一つだと思っている人も
少なからずいるのだから。
(ちなみに私は、必ずしもそうは言い切れないと思う)

拙速の愚を避け、如何に多くの国民を議論の土俵に乗せるか。
そこに力点を置いて話をしないと、
この法案は必ず躓きを見せてしまうだろう。
そうなってからでは手遅れだという認識が、
果たして安倍晋三らにはあるのだろうか。
posted by KAZZ at 20:41 | 島根 ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 国内政治(その他)

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