2006年04月05日

子供を産めない島

島根県に隠岐諸島という幾つかの島があるのを御存知だろうか。

大別すると島前・島後とあって、
島前は、西ノ島・知夫里島・中ノ島などから成り、
西ノ島町・知夫村・海士町の3つの自治体がある。
島後は、いわゆる隠岐の島が中心で、
かつては幾つかの自治体があったが、
平成の大合併により、隠岐の島全体が隠岐の島町という自治体になった。
隠岐空港や島根県隠岐合同庁舎もこの島後にある。

そしてこの隠岐諸島に於いて最も大きい病院が、隠岐病院である。

おきびょういん ドットコム(隠岐病院のサイト)
隠岐病院の病院情報(Yahoo!ヘルスケア)
隠岐病院所在地及びその周辺地図(Yahoo!JAPAN地図)

さて、この隠岐諸島(隠岐病院)に於いて
この4月から常勤の産婦人科医が確保できなくなり
その結果、島内での出産ができなくなってしまった
そのことを報じた幾つかの新聞記事を御紹介する。

隠岐病院、本土出産に経費支援(山陰中央新報)
お産をどうする!島根・隠岐諸島に産科医派遣打ち切り(讀賣新聞)
医師確保できず隠岐島で出産断念(中国新聞)

離島と呼ばれるところは何処でもそうだと思うが、
医師の確保に頭を悩ませることが多いと言える。
特に小児科や産婦人科というようなジャンルの医師は
その確保が相当に厳しい
と思われる。

隠岐病院の場合、これまでに本土の大きな病院から、
産婦人科の医師を派遣してもらっていた

しかし、人手不足を理由に島根大学が一昨年9月に派遣を中止し、
島根県立中央病院も先月、派遣中止を決定した
という。

もちろん、病院や隠岐の島町も手をこまねいていたわけではなく、
関西在住の医師の赴任を取り付けるところまで話は進んでいたが、
家族の病気により、当面着任が困難になったという。

病院も尽くせる手は尽くしたと思うし、
行政も最大限の努力はしたであろうが、
残念なことにこういう結果になってしまった
その点については理解しなければいけない
この件で単純に病院や行政を批判してはいけない

一番の問題は、むしろ慢性的に医師が足りないことに尽きる。
こればかりは、一地方の自治体や病院などの奮闘努力だけでは
如何ともし難い問題
である。

いったい、政府や厚生労働省は、
このような問題を如何様に捉えているのか

少子化社会の改善を狙うとかいう名目に於いて、
あれこれとわけのわからない施策を打ち出してはいるのだが、
何か根本的なことを忘れてはいないだろうか

それなりに人口がある地域であるにもかかわらず、
安心して子供を産める物理的な環境が欠如している場所もある

という事実に、目を向けようとは思わないのか。
出産や子育て支援と銘打った金銭的な援助云々だけで済ませば
それで良いという問題ではない


政府が打ち出す少子化対策の概要を報道等で見聞きすると、
何か「ためにする対策」にしか思えない気がしてしまう。
実効性云々は二の次で、とにかく「実績」だけを追い求め
「対策を講じた」という事実だけを残そうという魂胆が
政府や霞ヶ関の側にはあるような気がしてならない


少子化の問題以外にもそういう魂胆はかなりありそうだが、
いずれにせよ、こういう事情を見聞きすると、
国が行おうとしている少子化対策なるものは、
本当に実効性を有しているのか
と、少々不安を覚えてしまう

・・・というわけで産婦人科医のお医者さんで、
誰か隠岐の島に赴任してみようと思われる方がいたら、
隠岐病院の方に名乗り出てみられてはどうだろう。
posted by KAZZ at 20:24 | 島根 ☁ | Comment(2) | TrackBack(3) | 地方自治一般
この記事へのコメント
 数年前、島根からの帰り、鳥取から夜行列車に乗りました。乗客が殆ど居ない列車の中に東京に行くという婆さんがいました。少し話をしたら隠岐の島に住んでると言ってました。そしてこれから東京の病院に行くんだ、と。

 何の病気か知らないけど定期的に通院してるそうです。せめて県庁所在地には大きな病気を治せる病院も欲しいですね。ヨメの母親が最近癌になったけど、地元の病院では成功率20%の手術が国立がんセンターでは90%と格差が凄いあるのを知りました。

 最近格差社会なんて言葉があるけど、個人レベルではなく施設とかそういうところで既に格差が有り過ぎですね。地方の、しかも辺鄙なところで災害などがあると、そんなところはコストに見合わないから住んでくれるなという声が聞こえます。幻聴かもしれないですけどね。
Posted by ボッケニャンドリ at 2006年04月09日 09:48
>何の病気か知らないけど定期的に通院してるそうです。

実はこれとよく似たケースを知っています。
その方は昨年亡くなられたのですが、
地元民放テレビ局のカメラマンで、ガンに罹患していました。
で、このカメラマン氏を擁するテレビ局は、
夕方のローカルニュース枠で、何度か
ガン治療を地元でもできるようにという特集で
記者として取材をなさっておられました。

>個人レベルではなく施設とかそういうところで既に格差が有り過ぎですね。

国土の均衡ある発展などというのは、
所詮まやかしに過ぎなかったということですよ。

ただ、いくら我々が不便しようがどうしようが、
そういう論をぶちまけた政治家は
決して責任を取ってくれないのであって、
そういう論に与しない後世の政治家は、
「あれは○○さんが勝手に言ったこと」として
極端に言えば同系列にいる政治家であるのに
これまた決して責任を取ろうとしないわけです。

それなら最初から「自分の尻は自分で拭け」とでも
言ってくれた方がまだマシというものであって、
それを今頃になって、過去のろくな総括もなしに言い出すから
問題がややこしくなるのです。

>地方の、しかも辺鄙なところで災害などがあると、そんなところはコストに見合わないから住んでくれるなという声が聞こえます。

某長野県知事が、かつてそれに近いことを言ったような記憶がありますが。
Posted by KAZZ at 2006年04月10日 02:02
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Tracked: 2006-04-07 12:40

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Tracked: 2006-04-07 13:23

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