2005年07月13日

記号主義と二項対立を煽るだけの教科書騒動

栃木県の大田原市で、扶桑社が刊行する
例の「つくる会」教科書が採択されたんだそうだ。
別に取り立てて驚くほどのことでもなく、
本来ならスルーしたっていいぐらいなのだが、
何やらメディアはこれを一大事であるかの如く報じている。

毎日新聞記事 / 讀賣新聞記事

私がこのことを知ったのは、ちなみにNHKのニュースだったが、
何でまあ誰も彼もそこまで騒がなきゃいかんのか、と思う。
普通に検定を通り、市販されている教科書である。
それまでの教科書に比べて、幾分自律的な観点で歴史と公民について
書かれているに過ぎない教科書ではないか。

別に私は「つくる会」に全面的に賛同もしないし、
彼らと行動を共にしようとも思わない。
まして彼らの執筆・編集した教科書の内容に
些かのシンパシーも感じない。

だが、これは確かに文部科学省の検定に合格し、
教科書として用いることが認められているものなのだ。
ということは、どこかの学校が、
あるいは自治体が、これを採択したとしても
誰にも文句を言う筋合いなどないのである。

なのに、例えば島根県ではこんな文句を言う人間がいるし、
その他の都県でも文句を言い出す輩が多いらしい。
件の大田原市ですら、そうした輩がいたという。

正直、この種の文句を言う人たちというのは
かなり可哀相な連中なんだろうなと思う。
彼らは記号主義的に全ての事柄を識別し、
それらは常に二項対立の範疇にしか置けないものだと思っている

彼らにとって「つくる会」とは、右翼至上主義を盲信する連中であり、
扶桑社とは、そんな連中を優遇し擁護する会社であり、
その会社が出版した歴史と公民の教科書とは、
「戦争賛美」に走るトンデモ本だということのようだ。

その程度のド単純なカテゴライズで、全てを片付けようとしている。
それでいったい、何がどう論じられるというのか。
恐らくどんなに時間が経とうとも、何をどう論じようとも、
彼らの結論は最初から一つに決まっていて、
それしかないと頑なに信じつつ全てを論理付けようと思っているのだろう。

だが、逆にそうした画一的な前提による論理の押しつけは
恐らくは彼らが最も忌み嫌うであろう「ファシズム」という言葉に
置き換えて論じることも可能なのではないか。
そんなことを言うと、彼らは猛烈に否定をするかもしれないが、
彼らのやっていることというのは、早い話がそういうことでしかない。

「戦争反対」を掲げるのは別に構わない。
私だって戦争なんか真っ平ごめんだ。しなくて済むならしない方がいい。
けれども、悲しいことに日本は過去に何度か戦争をしている。
それは覆しようのない事実である。
ただ、それらの戦争について一方的に否定的な見方だけを拡散して、
「だから戦争はいけません」と言い張るだけで、
本当に戦争がなくなると言えるのだろうか。
例えば、「戦争」によって某かのメリットがもたらされたとする。
それはたまたま「戦争」が介在することによって生まれたものか、
あるいは「戦争」がなくてももたらされたものなのか、
もし「戦争」がなくてももたらされた可能性があるなら、
それを如何なる方法で回避しつつもたらせられるかどうかを、
過去の例から学んで知識として蓄積することも可能だろう。

何にせよ、これまでの歴史上で起きてきたことは
全て我々の祖先が行ってきたことであって、そこには成功も失敗もある。
その成功例にせよ、失敗例にせよ、全て学習によって検証し、
日本国民として、あるいは国際社会の一員として
どうしていくべきかを学ぶ糧にしなければ、
本当の意味での学習とは言えないのではないか。

つくる会教科書を採択するななどという意見を見ていると、
そうした視点が一切抜け落ちているような気がする。

そして、それは非常に危険なことだと言える。
posted by KAZZ at 21:06 | 島根 ☔ | Comment(2) | TrackBack(1) | 国内事件・社会
この記事へのコメント
具体性がまるでなく
ポエムのような書き込みですね
Posted by 詩人です どうも at 2005年07月21日 03:29
>詩人です どうもさん

いやまあ、ここはそもそもそういうBLOGですし。
だから何だ、としか言いようがございませんが。
Posted by KAZZ at 2005年07月21日 07:33
コメントを書く
※いただいたコメントは必ず拝読しております。
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※半角英数字のみのコメントは投稿できません。

この記事へのトラックバック

「つくる会」教科書採択反対派の実体
Excerpt: 大田原市の市立中学校7校で「つくる会」の教科書が採択されました。多数の妨害工作や嫌がらせもあったとは思いますが、そんな事に負けずよく頑張ってくれて、これで子供達が中韓から押しつけられたかのような歪曲し..
Weblog: ピースファクトリー:高知
Tracked: 2005-07-19 18:07
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。