2005年09月21日

惜しむべきバランサーの死

後藤田正晴さんが91歳で亡くなられた
元官房長官・副首相・警察庁長官などの職を歴任してこられた方だ。
カミソリ」との異名を取ったほどの直言居士として知られ、
政治改革や自衛隊の海外派遣問題などで名を馳せた方だ。

御存知の方も多いと思うが、
1987年の中曽根内閣で官房長官を務めておられた当時、
ペルシャ湾への自衛隊の掃海艇派遣を止めさせた
なんて話があった。
今は御存知のように、自衛隊がイラクに出向いている。
そのことを思えば隔世の感もあるのだが、
当時の後藤田氏はどうして頑なに艦船のペルシャ湾への派遣を拒んだのか
それはやはり、先の大戦に陸軍の将校として参加し、
終戦後も戦争について深い思慮を抱きつつ生きてきたことと
決して無縁ではないだろう
と思われる。

氏は政治改革にも熱心であった。きっかけはリクルート事件
(リンク先はWikipedia「リクルート事件」の項)
田中角栄スタイルを身近で見てきた後藤田氏は、
その欠点もまた熟知していたが故に、
もっと金のかからない政治を、と志向してきたようである。
それが現在の小選挙区比例代表並立制につながっていったのだろう。
もっとも、後藤田氏がその当時感じていたであろう思いが
現在、そこに真っ当に反映されているかと言われると、やや心許ない
気もする。
相変わらず「政治とカネ」の問題は後を絶たないし、
(しかも、与野党問わず何かしらの問題を抱えている
何か事件が発覚すれば一時は自粛ムードが醸成されても
ほとぼりが冷めればまた同じことの繰り返しに向かうだけ
なのだから、
結局のところ、政治改革が本当に成し遂げられているわけではない
そう考えると、後藤田氏にとっては忸怩たる思いも残るのではないか

ともあれ、カミソリと渾名された後藤田氏だったが、
その言葉には含蓄があり、何より重みがあったと思う。
独特のバランス感覚と平和を重んじる心
そしてそれらが導き出す重みのある言葉の数々
その時にはわからなくても、あとでジワッと効いてくる
そんな言葉を後藤田氏は紡いでいたように思う。

先の選挙で自由民主党は圧勝した。
そこには小泉の「軽い言葉」が常に共にあって、
その「軽さ」が本当に国民のための政治を導けるのかという
不安にも似た気持ちがある

そんな時に、バランス感覚に富んだ重みのある言葉で
ものを言える人がいれば、と思う

少なくとも、今の政治の中心にいる人材に、
そうしたバランス感覚や重みを求めることはできない


そう思うと、政治の世界は素晴らしきバランサーを失った
返す返すも残念でならない

後藤田正晴氏の御冥福を衷心より祈る

<参考記事>
後藤田さん死去:優れたミスターバランス 倉重篤郎
後藤田正晴さん死去:「カミソリ後藤田」最期まで 平和、護憲を説き続け
(以上、毎日新聞より)
posted by KAZZ at 20:37 | 島根 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 国内政治(政治家)
この記事へのコメント
コメントを書く
※いただいたコメントは必ず拝読しております。
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※半角英数字のみのコメントは投稿できません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。