2005年10月14日

やらせは良くない、ということ

テレビ番組において過剰演出、いわゆる「やらせ」を行うと、
一般的には厳しく糾弾され、当事者は何らかの責任を取らされる。
つい先頃も、フジテレビの朝の情報番組「めざましテレビ」の
とあるコーナーでやらせが発覚し、制作を担当した外部のディレクターが
その任を解かれたなんて話があったばかりである。

そういったことを踏まえて、以下の話におつきあい願いたい。

さて、今回の話の舞台はアメリカ、ホワイトハウス。
大統領のジョージ・W・ブッシュは、
イラクのティクリート近郊に展開する米軍兵士たちと
「対話」をしたいと希望し、実際にテレビ電話で会見を行った。
・・・と、ここまでなら別にどこにでもある普通の話である。

この「対話」が、実はミソなのだ。
アメリカ国防総省の高官が、その「対話」の前に
ティクリートの兵士たちを相手に入念な想定問答を行い、
「対話」のでっち上げを画策していた
ことが明らかになってしまった。
以下が、それを報じた共同通信社の記事である。全文引用する。

米大統領、前線兵士と対話 リハーサル映像が裏目に
(共同通信・Yahoo!JAPANヘッドラインより)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051014-00000045-kyodo-int

<引用開始>

 【ワシントン13日共同】ブッシュ米大統領は、イラク新憲法案の国民投票を直前に控えた13日、イラク北部ティクリートに駐留する米軍兵士らとテレビ電話で会見した。支持率低迷の中、国民投票の環境整備が進んでいることを示し、米国内でのイラク政策への支持つなぎ留めを図った。
 しかし、国防総省高官が会見前に兵士に入念なリハーサルを行った場面を、米テレビがこぞって報道。主要な質問項目を兵士側にあらかじめ伝え、回答者を決めておく周到な準備が逆に過剰な演出と映り、対話は裏目に出た
 野党民主党は「大統領は現場との率直な会話を拒否した」(リード上院院内総務)と批判した。


<引用終了。なお、太字部分は引用者による>

いやはや、アメリカ政府が率先して「やらせ」をやっているのである。
さすが、自由の国・アメリカはやることが一味も二味も違う

ブッシュや国防総省に如何なる目的があっての「やらせ」なのかは
概ね想像がつく。ここのところ厭戦的な雰囲気が高まりを見せ、
イラクからの撤退論も渦巻いている米国内において、
兵士との「対話」を通じてイラクへの派遣駐留継続の正当性を
米国民に示そうとする狙いがあることは論を待たない。

しかし、その手段として選んだはずの「対話」を、
こうやって「作られた」形で提示しなければならないほど
米政府や国防総省は追い詰められている
と考えていい。
要するに、もはや米政府が主張するようなイラク戦争の正当性など
誰も信じてはいない
ということなのだ。
そのことを米政府や国防総省も、今回のような形で認めている。

翻って、イラク国内では、いよいよ
憲法草案の是非を問う国民投票が行われようとしている

形や情勢がどうであれ、イラクの人々が本当の自立に向けての
確かな一歩
を踏み出そうとしている
この時において、
何のメリット(大方の場合、石油資源などだろうが)があって
イラク駐留を継続しているのか。

イラクに対する過保護も結構だが、それが結局、
自らの国に対する放置や先送りなどを促しているとするならば、
国民投票の実施を機にイラクからの撤退を始めてはどうだろう
その方が、イラクにはもちろん、アメリカの国益にもつながるだろう。

もっとも、そんな決断すらできないままに
ズルズルと駐留期間を伸ばし放題にして、
撤退の機を失しているブッシュ
には、
そんなことは到底思いつかないだろうけれど。
posted by KAZZ at 20:02 | 島根 ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | 海外政治
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